恋ノ神

あまりに強い邪気に私は背筋が凍る。
美咲の悲鳴が聞こえないほど強い邪気。
見に覚えがある空気感。
恐る恐る後ろを向くと、電信柱に隠れて友が異様なまでに黒い目でこちらを見ている。
その手には何やら白い人の形をした人形が握られている。

だが、その恐怖を吹き飛ばし、私は彼らを念動力で吹き飛ばした。
そんなに力を入れたわけでもないのに、彼らの体が大きく吹き飛ぶ。
何故だと思ったとき、さっきまで人間の形をしていた彼らの形は、なんとカカシに変わった。
殴られたのが重症になったのか、美咲は気を失っている。

私が美咲を運んだ頃には、友はその場から消えていた。

・・・・・・・・・

デジャブーではなかった。

私は友の顔を何度も思い出す。
あの邪気は明らかにどこかで体験した。
私の600年間の中で・・・。

だから私は友の情報をかき集めた。
小さなことから大きなことまで全て。
友のプロフィールを見ていると、ある文字が眼に入る。
彼女の名前だ。
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