恋ノ神
まずは標的の関係構成からだ。
これが分からないと、私は行動に移すことができないのだ。
秋山直樹とその彼女は、ついさっき喧嘩したばかり。
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彼女に別れると言われ、直樹の方は納得がいっていない。
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しかし、別れ話を持ち出した彼女も、あまり納得がいっていない。(泣いていたと言う事は、まだ心残りだと言う事だ。)
こういった構成はよくある。
つまり、2人は別れる事に納得がいっていないのだから、少し私がいじくってやれば簡単にくっ付く事が出来る。
構成が分かった私は、すぐ行動に移した。
最初に向かったのは直樹の所。
直樹は公園のベンチに座ってうつむいている。
きっと何故ふられたのかを考えているのだろう。
私は早速直樹の元に舞い降りた。
神は普段人の目には見えないが、神が人の目に付く事を許せば、人の目に付く事が出来るのだ。
「おいおい、そこの君。」
直樹に向かって、私は声をかけた。
うつむいていた直樹がゆっくりと顔を上げる。