恋ノ神

・・・・・・・・・

美咲は暗い表情で周りをキョロキョロと見ている。
何を探しているのだろうか?
一瞬そう思ったが、耳を澄ますと美咲の心の声が聞こえた。

『裏切った奴らに・・・仕返ししてやるんだ!』

やめろ。
私はとっさに口に出す。
美咲が昨日見たのは人間じゃなくてカカシだ。
しかし、途中で気を失った彼女には人間に見えてしまったのだろう。
ここで人を殴ったら余計に反感を買うだけだ。
しかし、引き止めるのが遅かった。
教室に入ってきたのは、美咲の友達の一人、昨日のカカシの中に入っていた少女だった。

「美咲~、おっはよー」

その姿を見るなり、美咲はいきなり殴りかかった。

「やッ・・・!何すんの!?」
「それはこっちの台詞だよ!ふざけんな!」

美咲は友達の髪を引っ張り、殴り倒す。
それを止めにかかった生徒も巻き込まれて殴られた。

「おい!何してやがる!」

児玉が駆けつけてきた。
多分他の生徒に呼ばれてきたのだろう。
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