恋ノ神

引き離された2人は、職員室に呼び出され、事情聴取されている。
しかし、何の覚えも無い美咲の友達は、ただ否定する事しか出来なかった。
美咲が教室に入ると、生徒達がヒソヒソとざわめきだした。
白い目で見る者もいれば、睨みつける者もいる。
だが、その中に友はいない。欠席しているようだ。

いけない道に入ってしまった。

私は頭を抱える。
こんな状況だと、酷くなればいじめになるだろう。
そんな事になっては恋どころではない。

美咲が教科書を開くと、いつの間にか落書き。
殴られた者たちからの仕返しか。
昼休みになっても誰も話しかける者はおらず、仕方なく一人で食事をとっている。
放課後になると、今度は物が隠されていた。
これはもうれっきとしたいじめだ。

だが、私は隠された場所がわかる。
気が進まないが、取り合いず探してあげる事にする。
美咲のストラップが隠されていたのはゴミ箱の中。
こういうのは隠されたというよりは捨てられたというべきだ。
しかし、ストラップを手にしたところで私は止まる。
こういう時こそ学の出番なのでは無いだろうか。

そう考えた私は、学のいる美術室に向かった。
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