恋ノ神

『美咲さんが暴力沙汰なんて・・・何かあったのかな?』

美術室で学の心の声が聞こえる。
児玉から聞いていたのか、美咲の事を知っているらしい。
美咲の事を意識してくれているのはいい傾向だ。
ここまでこれば精神に手を加える必要はない。

私はこの学校の生徒に変化し、学の目に映るようにする。

「先生。」
「?あれ・・・誰ですか?」
「美咲さんと同じクラスなんですけど・・・美咲さん、物がなくなって困ってるみたいで・・・。」
「えっ!?」

思ったよりも大きく動揺した。
学もどうやら美咲が気になり始めたらしい。
私は今美咲がいるところを教えてやる。
そうすると、学は珍しく礼も言わずに駆け出して行った。

その頃、美咲は必死にストラップを探していた。

「ホントに・・・どこ行ったんだろ・・・」

イラついているのか、机を軽く蹴る。
それと同時だ。
学がやってきたのは。


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