恋ノ神
「美咲さん」
学の声だと気付き、美咲は慌てて振り返る。
「先生・・・何で・・・」
「いえ、さっきあなたと同じクラスだって言う生徒さんから、美咲さんが物をなくして困ってるって聞いて・・・。私も探しますよ。」
同じクラスの生徒さん・・・私のことだ。
「いいの・・・?」
「はい!」
学はそう言って辺りを探り始める。
美咲はしばらくボーっとしていたが、ハッとしてから探し始めた。
私は持っていたストラップを学のすぐ近くに落とした。彼が見つけやすいように。
すると、学は早速ストラップを見つけ出した。
「あった!美咲さん、ありましたよ!コレだと思います。」
美咲に歩み寄ってストラップをかざす。
「あ・・・ありがと・・・。」
「よかったです。というか、こんなことしたら普通いじめですよ。」
言ってくれればいいのに、と学が美咲にストラップを渡す。
ふうと息をついて、2人は外で近くのベンチに腰をかけた。
生徒はもう帰ってしまい、ほとんど残っていない。