恋ノ神
「そういえば、昨日美咲さん襲われたんですって?」
その言葉に、美咲はビクッとする。
美咲の様子を察し取り、学は慌てて謝る。
「ああっ・・・すみません、嫌でしたよね。そんな話・・・。」
「いいよ。仕返ししたもん。」
うつむいて、強がった表情を見せる。
「先生も・・・あたしの事嫌いなんじゃないの?」
「え?何で?」
「だって・・・授業サボるし、化粧品持ってきてるし、悪い事ばっかしてるし・・・。」
「・・・それはそうですけど。嫌いじゃないですよ。私と同世代でそれくらいの人、沢山いましたから。」
励ますように学が続けた。
「私思うんですけど、あなたが悪ぶってるのって・・・何か不満な事があるからじゃないですかね?」
「・・・・。」
「~・・・。話せるなら話して下さい。力になれるか分かりませんけど、聞きますよ!」
「・・・。・・・き。」
「?」
「・・・好・・・き・・・。」
「え?好き?」
学が耳を傾けた時、美咲は焦ったのか急に走り出した。
「もう帰らなきゃ・・・」
それだけ言うと、美咲は走り去っていった。