恋ノ神
「生き物好きなあんたの事馬鹿にして・・・何も知らないで・・・」
「あ・・・。」
友自体、謝られる事は予想外だったらしく、うろたえている。
「あたし、自分のストレスを皆に・・・あんたにぶちまけてたんだ。あんたも、嫌だったよね。」
「・・・そうだ。でも」
「殴ってもいいよ、あたしの事。あたしがあんたに・・・動物に嫌なことした分、返していいから。」
「なんで・・・。何で反省してるんだ。月島さんは昨日、他の生徒を殴って暴力沙汰を起こしたんじゃ・・・。今も、復讐できたんじゃないの?」
うろたえた様子で聞いてきた友に、美咲は答えた。
「昨日ストラップ探してる時に・・・先生があたしに言ったんだ。」
それを聞いて、一度身に覚えがないと思ったが、たぶん私がストラップを取りに行った時だろう。
「『いくらあなたが悪い事したと言っても、同じ悪いやり方で仕返しするのは良くない』って。あたしは自己中だったし、親同士の喧嘩の不満を、暴力ですっきりさせてた。]
「・・・それは、美術の先生が言ってたから納得がいったんじゃないの?普段の月島さんからは、考えられないくらい・・・。」
「あたしもそうだと思う。好きな先生に言われたから納得したんだと思うよ。でも、昨日帰ってみたら、いつの間にかお母さんとお父さんが離婚してて・・・。2人の喧嘩の原因は、仕事が上手くいかなかったから。それだけだったんだ。」
下を見つめたまま、美咲は拳を握り締める。
「あんな大人には、絶対になりたくないから。」