恋ノ神
「もうすぐ死が近いってのに、呑気だな・・・。」
「?怖がったってもっと怖いだけじゃないか。それに、僕には今はユウがいるから、寂しくないさ!」
ポジティブだ。
開き直りとも思えない。
ユウというのは優の事らしく、大分ツツジにとって心の支えになってるようだ。
「両親は、見舞いに来ないのか?」
「・・・お母さんは死んだ。お父さんだって言う人も、女の人と付き合ってる。」
そういえば、ツツジは記憶喪失しているんだっけ。
「浮気か。薄情な父親だな。」
「ホントだ!」
ツツジが声を強める。
彼女の情報は一時集めた。取り合いず寺に戻るとするか。
「じゃあ、私はこれで・・・」
「え?もう行くの?」
「ああ。」
「・・・じゃあ、また来てね。」
「・・・ああ。」
あと何回来れるか分からない。
この子は理解しているのだろうか。