恋ノ神
「よお、ハディス。」
「久しぶりですね、もう10年も会っていないですから。」
人間界では、ハディスは閻魔大王のように描かれているが、本当は温厚で優しい性格なのだ。
園芸や菓子作りにも興味があるらしく、よくこんな菓子を作っている。
「この前三途の川を通りかかった和菓子職人に教えてもらったんです。美味しいですよ。」
そう進められ、私は饅頭菓子を口に運ぶ。
小豆の甘さが口に広がった。
「うまいな。」
「でしょっ♪」
さも嬉しそうにハディスが微笑む。
「ところでハディス、相談があるんだが・・・」
「?何ですか?」
キョトンとした顔をして言っているが、私の相談内容を聞いたら、きっと驚愕で飛び跳ねてしまうだろう。
「この子。」
私はツツジのプロフィールをハディスの前に突き出した。
「あと数日で死んじまうんだ。」
「・・・。・・・お気の毒ですね。」
「ああ。だから・・・お前の力で、ツツジの寿命を延ばしてくれないか?」
「!!!!!」
思ったとおり、ハディスは驚愕で飛び上がった。