恋ノ神

「ななななーなな・・・何言ってるんですか!?」
「いけねぇことだって事くらい分かってる。」
「それもそうですけど、ここで彼女の寿命を延ばすことで、他の人たちの先の運命、未来を変えることになってしまうんですよ!?」
「うぐっ・・・それを言うなよ。」

せっかく頭から離そうとしていた言葉を返させて、痛いところを刺された気分になる。
結局「すみません」と言われ、去ってきてしまった。

・・・・・・・・・・

菊野病院には優が居ない時に来ることにした。
素直なツツジは隠し事が出来ない。
そのため、優の前で私と会話することが出来ないのだ。

「あ、神様!」
「元気か?」
「うん!」

元気よく答えているが、その声が無理に出ているのだとすぐに分かった。
痛そうな表情で顔が引きつっているのが分かる。
抗癌剤のせいだろうか、髪の毛もだいぶ減っている。

「優は、今日は来たのか?」
「うん。パンくれたんだ。チョコパンって奴。」

そうだ、ツツジは記憶喪失のせいで一般常識も知らないんだっけ。

「良かったな。美味かったか?」
「すげぇ美味かった!」
「良かった・・・。・・・あのさ、さっき死神にお前の事聞いてきたけど・・・寿命は延ばせないってさ。」

申し訳無さそうに言うと、ツツジはキョトンとした顔で言った。
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