恋ノ神

「別にそこまで生きたいなんて考えてないさ。死ぬのは怖いような気がするけど。」
「そ・・・そうだったか。」

ある意味いい子だな。
私はそう思った。現代の人間など、自分が長く生きたいがために医療を発展させる人間がいると聞く。
人間は決められた寿命を生きなければならないのに、無理に生きるのはいい事とは思わない。こういうことではツツジを見習うべきだ。

「寂しくないのか?」
「お母さんやお父さんと会えなくなるのは、全然寂しくない。」
「そうじゃなくて・・・優と。」

そういうと、ツツジは何も言わなくなった。

「それは・・・寂しいな。」
「やっぱりか。」

以前は死について何とも思っていなかったのだろうが、優と親しくなってから死に対する抵抗が湧いてきたのだろう。

「神様・・・」
「ん?」
「僕が死んだら・・・ユウは悲しむと思うか?」
「!あっ・・・当たり前だろうが!優はお前のことが好きだし、お前も優が好きなんだろ!?」
「そう?」
「そうだっ!」

そう言ってやると、ツツジはホッとしたように顔を緩めた。


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