恋ノ神
ここからはもうほとんど手を貸す事はないだろう。
彼女が行った公園には、念じたとおり、直樹が待っていた。
「ゴメン、呼び出して・・・」
「・・・うん・・・いいよ。」
2人ともぎこちない様子で会話している。
「あのさ、この前の誘い断ったの・・・あれ、バイトで行けなかったんだ。」
「え・・・?バイトしてたの?」
「・・・ああ。」
「どうして・・・」
そう言いかけた彼女の前に、直樹が指輪を突き出した。
「お前に・・・買ってやりたくて・・・。内緒でバイトしてたんだ。」
直樹の言葉に、彼女が顔を赤く染めた。
「・・・ゴメンね。何にも知らずにキレてて・・・。」
「は・・・。俺もびびった・・・。」
「っ・・・。あの・・・今度の休み、水族館行かない?」
「あ、その日空いてる。行こうぜ。」
笑顔で言うと、二人は手をつないで歩いていった。
ふふ・・・お幸せに。
近くのコンビニからのぞいていた私は、ひそかに微笑んだ。