恋ノ神

「欠点が無いなんて化け物だな。」
「ははっ、言えてる。」

ほんの文句しか聞いていないな、と私は思うが、私が晴ならおそらく同じことを言っていただろう。

「恋愛なんて糞食らえだな。」

こんな人に恋をさせるのも骨が折れるな。
いや、私からすれば簡単なのだが、恋人にする相手に、だ。
2人の様子を見た私は、取り合えずその場を離れた。
次に向かったのは特に男が溜まっている所。
その中の誰かが、晴に恋心を抱いているかもしれない。
あの容姿だから必ず一人は好きになっているだろうが。
晴と同学年である2年生のクラスを回って行った。
あまり男子の溜まり場というのも見つからなかったが、4組に入った時、私は宝の山を目の前にしたかのように目を輝かせた。
男子が1つの机に6人ほど集まっている。しかも皆顔が良い。
女子から言えばまさに宝の山だ。

「どうか、居ますように。」

神の私は神に祈りを捧げ、男子の集団に入っていく。

「えー?あんな地味子が好きなのー?」
「いいじゃん。」

良いタイミングにも恋話の最中だったらしく、色々な男子の恋が語られている。
その中で、1人がある人物の名を挙げた。

「俺は・・・綾織 晴かな。」

やった!と私は声を上げる。
晴の名を挙げたのは、左側に座っていた少年だ。


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