恋ノ神
しまった・・・。そこを見落としていた。
晴が男嫌いなのも何となく分かった気がする。
名札を見て分かった事なのだが、咲夜がいじめをしていたのは小学5年の頃。
いじめの理由は、晴の姉が身体障害で腕が無かったという事。そう、たったそれだけのことであった。
彼が主犯格だったわけではないのだが、それい加わっていた事に変わりは無い。
「コイツは却下だッ!!」
つい声に出してしまった。
「なんだ障害くらいでくっだらないいじめしやがって!それは完全に貴様が悪いぞ!好きになったのもどうせ晴が美人になったからだろ!?虫が良すぎるんだよ、反省しろ!誰がこんな都合の良い奴に恋させるか!一生片想いでいりゃいいんだテメーは!」
息を切らし、咲夜を指差し、これでもかというほどの暴言をぶちまける。勿論、誰にも聞こえない。
私はいじめがこの世で一番嫌いだ。
弱い者をいたぶることは何よりも嫌いなのだ。
1人ではなく、集団で痛めつけようとするその姿は見ているこっちも腹が立ち、何より不快感を感じさせられる。
あざ笑うように咲夜に背を向けると、また別の男を探す事にした。
しかし、1年から3年まで全学年探したが、意外にも他に好意を持っているという男はいない。晴の男嫌いが仇になったらしい。
・・・しかし、あの少年と引き合わせるのはこちらのほうが気が引ける。
「私が晴の父親なら、分かってれば絶対に許さないんだけどな。」
頬杖をつきながら、空中に浮いて呟く。
しかし、他の高校や成人と引き合わせるのも返って面倒になりそうだ。
「・・・やむを得ず・・・か。」
こちらは良いとして、彼女が認めるかどうかにあるのだが。