恋ノ神
虎穴に入らずんば虎児を得ず、行動に移さなければ大きな獲物は獲られないか。
放課後にどこかで2人きりにさせるつもりだったのだ。
放課後に2人きりになれるところなど、今時あるのだろうか?
一度悩みかけたが、ふと閉じられた古い図書館が目に入る。
「もう一度・・・この図書館に力を借りようかな。」
蒼と瀧太郎のころを思い出し、2人きりの舞台をここに決める。
撤去になったわけではないのだから、鍵さえあれば開けられるだろう。
・・・・放課後・・・・
夕日が差して来た時、私は皆が帰宅する前に職員室に向かう。
ドアをくぐり向けると、旧図書室の鍵を見つけ、さっさと持ち去っていった。
先に晴の所に飛んで行き、頭に手を当てる。
「図書室探検でも、してみようかな。」
いまいちな理由だな、そう思いつつも何とか晴は図書室に向かわせる。
次に咲夜。同じ方法だと気が進まないので、近くにいた教師を使う。
「この本を旧図書館に置いて来なさい。」
そう命令させると、それを聞いた咲夜はしぶしぶと本を旧図書館に置いて行くことにした。
晴を見ると暇そうに本を読んでいる。
何故出られないかというと、私が晴に「誰かが来るまで待とう。」という念を残したからだ。
少し待っていると、咲夜が本を持って入って来た。
ガタンッ!
大きな音を立て、椅子が倒れる。晴は驚きと緊張で青くなっていた。