さよならマイヒーロー

「大丈夫か。南はそれ以上あほになる心配はねぇけど、高岡頭気をつけろよ」

「って、なにそれ、先生!? 超聞き捨てならないんですけど!」

「あぁ悪い。アホには難しかったか。いいか、南。それ以上なりようがないくらいアホだと、多少頭を粗雑に使っても悪化のしようがないんだ。わかるか?」


俺の言葉を咀嚼中なのか沈黙した南が、やっぱり先生バカにしてるでしょ!? と叫んだのは数秒後のことだった。

おおよく分かったな。その隣で高岡が未だに顎を押さえたまま悶絶し続けている。
やはりアホの方が治りが早いらしい。


「とにかく、南の大事なお兄ちゃんのことはこの俺に任せときなさい。なんの心配もないから、で、おまえは高岡の顎の心配でもしといてやれ、気の毒に」


やれやれと言わんばかりに肩をすくめた俺に、南がきーきー叫んでいたが、それ以上つきあうのは面倒くさかったので華麗にスルーして俺は職員室へ向かうことにした。


俺のほのかちゃん泣かしたら許さないからね? と背筋の凍る笑顔で脅してくれたある意味どの越えたシスコンであるところの俺の恋人の声が浮かんできたが、たぶんそれとこれとは別問題だ、と思いたい。






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