さよならマイヒーロー
絶対絶対絶対絶対認めないんだから! 喚きたいのをあたしはなんとか呑み込んだ。
学校から帰って直ぐに「今日彼が来るんだ」と言われて地団太を踏んだあたしを見ていたおにいちゃんの悲しそうなあの目。
そうだあたしはお兄ちゃんを悲しませたいわけじゃなくてでもヤダヤダ! 絶対絶対認めないんだから!
……会うだけ、会おう。そんでそれから反対しよう。お兄ちゃんには似合わないよーとか言おう。
投げやりな結論を出してあたしはいそいそと私服に着替えに階段を昇って自室に向かう。
パステルカラーのヲトメなあたしの部屋に入って(あたしの趣味と言うよりかは、お兄ちゃんの趣味だ。お兄ちゃんはセンスが可愛い)、4月に始めて袖を通して、まだ2ヶ月ぐらいしか経ってない高校の制服を脱ぐ。
そしてお兄ちゃんがかわいいと大絶賛してくれたもこもこの部屋着のワンピースを着て、また階段を下る。
漂ってくる料理の匂いにあたしはなんだかため息をつきたくなった。
用意されたメニューでお兄ちゃんのご機嫌度合いが手に取るように分かる。もう超ご機嫌だ。