さよならマイヒーロー

なんだかなーとげんなりする気持ちと、絶対反対してやるんだからっているこのやる気な感じが入れ替わり立ち代りぐるぐるしてる。

そのとき、ピンポーンと軽やかに玄関のベルが鳴った。

―――――来た!?


「ほのかちゃーん、悪いんだけど俺今揚げ物で手はなせないから開けてくれるー?」

「あ、はーい!」


台所から聞こえたお兄ちゃんの声に条件反射的に返事をしてしまって、あたしはすごすごと玄関に向かう。

――笑顔でなんて迎えてやるもんかっ。お兄ちゃんが来る前に絶対釘さしてやる、睨んでやる!


「はーい、どちらさま……って、先生?」


玄関を開けた先にいたのは、我が1年3組の担任の沢田先生で。

あたしは威嚇気味だった表情を思わず緩めて背の高い先生を見上げた。
先生は「おう、南」とか言って、軽く手を挙げた。

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