さよならマイヒーロー

まだ若い沢田先生は顔も結構かっこよくて(あたしはお兄ちゃんのほうが何倍も美人だ!って思うから、そこまでかな~って思うけど、美佳とかは何あの人かっこいい!って興奮してた)、女の子たちから絶大な人気を誇ってる。

あたしは、そんな先生をじろじろと眺め倒して、あれ? と思う。


「………なんで? あたしなんかしたっけ?」

「遥に聞いてないのか?」


呆れたって顔した先生の口から飛び出した単語に、あたしがはぁ!?とお兄ちゃんが聞いたらはしたないって言いそうな凶悪な声を思わず出した。


「は、はるかって」

「……お前、馬鹿かもしれないとは思ってたが、自分の兄貴の名前も覚えてないのか?」

「そんなわけないでしょー!? っていうか、じゃ、まさか……ッ、」

「俺がお兄さんの恋人です。よろしくね、ほのかちゃん?」


エセ臭すぎるさわやか笑顔で挨拶してきた先生を指差した状態であたしは固まる。なんじゃそりゃ。冗談じゃ、冗談じゃないんですけどー!!

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