サカミチ~君と奇跡の恋~
「おはよう」って言えるかな。
言いたいな。
・・・・・・言えないかも。
友菜の隣の席には、もう丹羽がいた。
友菜の席に大きなバッグがはみ出している。
野球部の大きなバッグ。
友菜は、わざとバッグにあたるようにスクバを置いて、玲のところに行った。
「玲ー!トイレ行こう。」
くしとリップを持ってトイレの前の大きな鏡の前で玲と話すのが毎朝の日課。
色つきリップとキラキラリップを組み合わせてグロスみたいにした。
「それどこのー?色いいね。」
玲は髪をとかしながら言った。
「どこだったかな。薬局だよ。結構安いよ。」
友菜も髪をとかしながら、少し香水をつけた。
「その香水人気だよね!貸してー」
玲に香水を貸した。
とてもいい香り。
これで、丹羽にいい香りの人って思ってもらいたい。
髪がさらさらだって思ってもらいたい。
唇がつやつやしてるって思ってもらいたい。
今は、全部丹羽のためになってる。
「そろそろ戻るか。」
友菜と玲はクラスに戻った。