双子☆Love
「梨香。」



隣に川瀬くんがやってきた。さっきまでの不機嫌モードの欠片もなく、ニコニコしている。



「やっぱし、座席決めるときに正直に梨香の隣になりたいって言えばよかった。」



「えっ……。」




いや、訂正…。



川瀬くんが笑って、私にそんな言葉を言うとき。



川瀬くんは、体全体を使って私に好きって言ってくれているような、温かいオーラを身にまとっている。




だから、さっきも不機嫌だったわけじゃなくて、
あれが普段の川瀬くんなのかもしれない。




「川瀬くん。」



「あっ、前は結花に邪魔されたけど……佑樹って呼んで。」




この前もそんなこと言われて、呼びそうになったけど、結花ちゃんがいたから


結局呼ばずじまいだった。



「ほら、呼んで?」



でも、今回は結花ちゃんは隣にはいない。


止めるような人もいない。


妖艶に笑う川瀬くんの瞳に吸い込まれそうになる。
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