-獄蝶-
-7
正直、こんな事言いたくなかった。
俺は何なんだ。
さっき、礼華を振ったのは俺。
翼さんと一緒にいたから何なんだ。
俺には関係ないだろ…?
このあと、礼華は翼さんに抱かれるのか?
何考えてるんだ俺は…。
どうしてだ、あれほど飲むなって言った酒なのにどうして
飲んだんだ!礼華!!!
・・・どうして飲ませたんだよ…翼さん…
俺は、自分が憎らしかった。だけど、それ以上に
翼さんに妬いていた。
「あっくん、どうしたの?」
ハッー!!
唯結か…。
「あぁ、なんでもない。」
「あの子、綺麗な子だったね。街中の男の人が振り返ってるよ。ホラ!」
唯結は何も知らない。
俺は、唯結がさした方を向いた。
…凄い。
皆、礼華のことを見てる。
隣にいる翼さんもカッコいい。
だから、皆が
「美男美女カップルじゃん!ってか、あの子超綺麗。
胸でかかったし、五万でヤらせてくれると思うぜ?」
・・・・・!!!
そんな声が俺の耳に入って来た時、言った奴を殴ってやろうかと
思った。…けど、
俺は、礼華にとっちゃもう他人だからな…。
「あっくん、いつまで見てるの?まさか、惚れちゃった?」
唯結に言われてビクッとした。
ちがう、惚れてるんじゃない。
それ以上だ。
愛してるんだ。
「いや、スゲぇなと思って。」
「だねー。唯結もあんな風になりたいな。」
ならなくていいよ。
唯結はそのままじゃなきゃ困る。
俺が愛してるのは1人だけだ。
礼華…お前だけなんだ…。