-獄蝶-
…葵…から逃げた。
逃げたのは、私。
あの時、葵は礼華って呼んでくれた。
それだけで十分。
震える足でトイレの個室に入り座った
その時―…!
「無…無い!!!」
…どうしよう。絶対あの時落したんだ…。
葵が拾ってたらどうしよう。
バレちゃう…。
って、もう拾われてるよね。
…どうしよう。絶対軽蔑される…ッ!
ついこないだ告白したばっかりなのに!!!
…私に残されたのは、絶望だけだった―…。