-獄蝶-

「礼華!!どうして…葵が目の前に居るんだぞ!
どうしてそんなに冷静でいられるんだ…」


え?


「たつ…どうして、って言われても…」


分からないよ


「元彼だぞ!?」

その言葉に、イラっときた。

「知らねぇよ!どうしてか、葵<雨だったんだよ!」

…しょうがないじゃん…ってか、私だってビックリだよ。

「フッ―…雨は中央病院だ。竜貴、じゃあな」

それが竜貴には気に入らなかったらしく、

「テメェには二度と会いたくねぇよ!!ってか、礼華にはねぇのかよ!」

…私!?…無いと思うけど。

「ハァ?礼華…」

・・・言葉じゃないけど、目が言ってた。

―またな

って。

「てめー!礼華、行くぞ!」

…分からないけど、明らかにこないだまでと何かが違ってた。

葵より雨。そう思った。

「うん。」

バイクに跨った時だった。

「大丈夫?」

今日は、なんだか心配される。

「たつ?私は大丈夫って言われるより、頑張れって言われたい」

いつか、誰かが言っていた。

「だな。大好きだぞ―!!」
…これを見られてたなんて知るわけもなかった。
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