ピュアハート



コンビニの中をガラス越しに覗いてみると、3人の男性がいた。


どの人だろう…。

ケータイを取り出し、駐車場から電話をかけてみた。すると、一人の男性がポケットをゴソゴソしだした。


あの人か…。


三人の中で一番若そうで大学生ぐらいに見えた。


彼が電話に出た。


「ナオキ?今、どこにいるんだよ?」


そう言いながら駐車場へ出てきた彼。


「…あの、…」


おずおずと話そうとすると、


「…君…誰?」


と言われ、一呼吸置き、思い切って一気にしゃべった。


「あなた、昨日から私のケータイにずっとかけてきてるんですけど、番号間違ってませんか?」



彼の目の前にいる私が言った言葉が、彼のケータイからも聞こえていて、私を見た彼が目を大きく見開いた。あまり驚きすぎて声も出ないのか、自分のケータイと私を交互に見ながら呆然としていた。


今度はケータイを切って、もう一度私の口から直接彼に言ってみた。


「あなたのかけた番号、私のなんです。」


そこで我に返ったのか、いきなり頭を下げてきた。




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