ピュアハート


打ち上げ花火は川の対岸から上がる。

堤防に近づくにつれ、人が増えてきた。

警察の交通規制の中、土手に下りようとすると、リュウさんが右手を出した。


「足元気をつけて。」


差し出された手に、恥ずかしさが込み上げてきて躊躇っていると、


「ここを下りる時、手を繋ぐといい事があるんだって。だから…はい。手、出して。」


「本当に…?」


少々疑いの目でリュウさんを見た。


「うん、ホントホント。」


そんな事言って、クスクス笑ってるじゃん。まあ、騙されてあげてもいいけど…。


なんて思いながら、手を重ねた。


< 50 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop