ピュアハート
打ち上げ花火は川の対岸から上がる。
堤防に近づくにつれ、人が増えてきた。
警察の交通規制の中、土手に下りようとすると、リュウさんが右手を出した。
「足元気をつけて。」
差し出された手に、恥ずかしさが込み上げてきて躊躇っていると、
「ここを下りる時、手を繋ぐといい事があるんだって。だから…はい。手、出して。」
「本当に…?」
少々疑いの目でリュウさんを見た。
「うん、ホントホント。」
そんな事言って、クスクス笑ってるじゃん。まあ、騙されてあげてもいいけど…。
なんて思いながら、手を重ねた。