傷だらけのラブレター
01:未完成のラブレター
きっと、彼はまだ何も知らない。
「…ねぇ、愛未。」
『な、なぁに?』
その少し前にある立ち止まった背中、とか。
その半分だけ振り向いた、くるんとした瞳、とか。
「髪に、桜の花びらがついてる。」
全部、全部が、私にとって愛しいものだなんて。
彼はひとたまりも、ほんの一瞬さえも思ったことがないだろう。
『えっ、嘘!』
そう言いながら、自分の髪のあちこちを触りまくる私。
…今、顔絶対赤い。
恥ずかしくて、顔が火照ってるのが自分でもわかるもん。