傷だらけのラブレター
『……っ。』
何を言われたのか一瞬理解できず、声が息づまる。
きっと、彼女は全部全部知っていた。
俺が愛未にフられたこと。
俺が愛未を忘れていないことを。
「逃げるのは、悪くないと思います。」
微かに微笑みながら言った彼女を、ふと見つめる。
言われてみれば、似ている。
声だけじゃない。
くるんとした二重の目や、雪のように真っ白な肌。
重ねるには、もったいないぐらい。
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