傷だらけのラブレター
「…別に。」
それは、久しぶりに直也と過ごした、優しい時間だったと思う。
今、目の前にいる直也だけは、まるで昔に戻ったみたいで。
顔を隠すように前髪をクシャッとさせ、そこから覗く直也の顔は、赤みを帯びて照れていて。
なんだか、優しく温かい直也の狭間を見たような気がした。
『ふふっ♪』
…これは、やばい。
変な声を漏らしちゃったし、口元がにやけちゃう。
これも全部、こんな態度をする直也が悪い。