傷だらけのラブレター



フワリ、と。



一瞬のうちに、私の体は直也の腕に抱きしめられていて。




ずっと側にいた香りが、今まで生きてきたなかで、一番近くにあった。






「もう、我慢しなくていいんだよ。」





あまりにも、優しすぎる声。



それに、全てを委ねてしまいたくなる。





…こんなの、ズルい。



まだ、言っちゃダメなのに。
まだ、手術は成功してないのに。




こんな不意打ち、卑怯だよ。




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