傷だらけのラブレター
『……っ。』
いつの間にか、私の手のひらは、ギュッと直也のワイシャツを掴んでいて。
直也の体温を求めるように、自分のおでこを直也の胸に当てていた。
――…全てを、言ってしまいたい。
だけど、言うなんてできないよ。
『…直也は、菜穂ちゃんがいるでしょ?』
そう言いながらも、さっきより強く直也のワイシャツを握り占めている、矛盾した私。
そんな私の髪をなでながら、直也も私を抱きしめる腕を強くする。