傷だらけのラブレター
07:正体不明のラブレター
朝、寝坊して、慌てて家を出る。
そしたら、直也が少しご機嫌斜めになりながらも、私の家の前で待っていてくれていて。
感情のこもってない冗談混じりの声で謝りながら、直也の後ろを歩いていく。
――…そんな風に、昔は当たり前だったこと。
それが今、当たり前に戻りかけていたの。
「…愛未!」
前の席にいる直也が、ゆっくりとこちらを振り向きながら、私の名前を呼ぶ。