傷だらけのラブレター
『…教室、戻ろうか。』
「あっ、そだね~。」
美嘉がそう答えたのを確認して、私は小さく微笑み、重たい腰を上げる。
立ち上がったら風があたる面積が増え、少し肌寒い。
……ほら、ね。
こういう時も、いつだって私は直也の情報をキャッチしてるんだよ。
今だって一歩、一歩、直也が近づいてきてるのを感じるの。
教室へ向かう私たちと、サッカーボールを体育倉庫に持っていく直也。
私たちは、小さくすれ違った。