傷だらけのラブレター
『……。』
「……。」
静まり返った空間に、残された2人。
もう逃げ道は残っていない。
『……。』
もう、言うしかないのかな?
言うことしか、できないのかな?
直也の顔さえも見れない私は、背中ごしでギュッと手のひらを握る。
――…こんなことになるなら、早く言えばよかった。
『…あの、ね。』
紡いでいく声が、ガタガタ震える。
だけど今は、私から切り開いていくしかない。
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