傷だらけのラブレター



直也だって、気づいていたでしょ?




そんな想いを込めて、今度は私が直也をジッと見つめる。



口にしたことで現実的になったその言葉を、直也はまだ受け入れられていないようだった。




『…本当に、嘘だったらよかったのにね。』




病気のことも。
直也にバレてしまったことも。



全部嘘にできたら、どれほど楽なんだろう。



今ある現実を、全て消してしまいちゃいたい。




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