傷だらけのラブレター



忘れたくないと思った。



直也がいない生活なんて慣れたくないし、当たり前なんかになりたくない。




…けど、逆に慣れてしまえばいいとも思うから、不思議。




『……。』




この生活に慣れてしまえば、直也が恋しくなくなる。



直也を想って涙することもないし、直也を傷つけることもない。




直也を忘れるには、ちょうどいい環境だと思ったの。





「…愛未ちゃん?」




心をどこかに飛ばしていた私に、お医者さんが控えめに声をかけてくる。




< 306 / 459 >

この作品をシェア

pagetop