傷だらけのラブレター



「…手術を受けられなかった子の話。

前に、したよね?」

『……。』


「その子が言ったんだ。」





重ねられてる。

それはわかっていたけど、不思議と嫌な気持ちはしなかった。



きっとお医者さんが見てるのは、ずっとずっと過去の世界。




「“もし私と同じ病気の子がいたら、手術して、絶対直してあげて。


私と同じ運命になる子は、もういなくていいと思うの”」


『……っ』




――…そんなこと言われたら、なにも言えなくなるじゃない。




< 311 / 459 >

この作品をシェア

pagetop