傷だらけのラブレター



『…さて、と。』




帰るか。



いつまでもここにいたって仕方ないし、長い間ここにいたら不自然だ。



痺れた足を伸ばしながらも、俺はしっかりとお墓に向き直る。




『…愛未の手術を成功させてください。』




ちょっとだけ、ご先祖様に願い事。



願い事なんてするものじゃないとわかってるけど、今はご先祖様でも神でも信じてみたい。



…信じなきゃ、やっていけない。




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