傷だらけのラブレター
『…よし。』
願い事をして、今度こそしっかり立ち上がる。
墓に向かって軽くお辞儀をしてから、それに背を向けようとした瞬間、どこからか場違いな声が聞こえてきた。
「あっれー、直也くんじゃ~ん!」
『……。』
この癖のある喋り方、いつのまにか耳に刻まれていた。
なぜか最近よく絡んでくる、きっと“奴”に違いない。
『…やっぱり。』
振り向いた瞬間、そう口に出してしまったほど、よく見るチャラチャラした笑顔。
そこにいたのは、やっぱり浅野目だった。