傷だらけのラブレター



小さく、引き寄せあって。



だんだん、直也の顔が近づいてくる気配がして。



静寂のなか、窓から緩やかな風が舞い込んだ瞬間。




『……。』


「……。」





私たちは、キスをした。




どちらかが迫ったわけでもなく、自然な流れと共に。



触れるか触れない程度の、キス。




『……。』


「……。」




直也の顔が離れるのを確認した私は、ゆっくりと目を開けて。



その直也の姿をまた確認する。




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