傷だらけのラブレター



「愛未ちゃん。スタンバイに入りましょうか。」


『あ、はい…。』




馴染み深い看護婦さんに、骨格が上手く上がらない笑顔を見せる私。




もう、そんな時間が来ていたんだ。



チラリと後ろを振り返ったら、直也が複雑な笑顔を私に見せていた。




『…じゃあ、行ってくるね。』

「…ん。」




本当は、行きたくない。



だけど看護婦さんもいるし、そんなこと言えないから、私はあえて明るく振る舞う。




私だって、これでは何も変わらないのがわかっていた。




< 362 / 459 >

この作品をシェア

pagetop