傷だらけのラブレター




ずっと昔から、姉ちゃんや両親に言い聞かせられていた。




姉ちゃんの病気は、今の日本では珍しく、治療法が発達していないこと。



治る方法は見つかっておらず、直す術はないこと。




こんな姉ちゃんの言葉を、この時の俺はバカみたいに信じてた。





「…圭は、ずっとそう言われてきたもんね。」




そう言った姉ちゃんの声は、まるで機械音みたいで。



表情が、目が、声が、姉ちゃんの行動全てが。



全部全部、俺に違和感を与えていく。




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