傷だらけのラブレター



姉ちゃんは、そんな俺の呟きをまるで聞こえなかったかのように、再び口を開く。





「ねぇ、圭。ずっと秘密にしてたけど…。」


『……。』


「本当は、一つだけ病気を治す方法があるの。」





この時の俺は、本当に必死だったんだと思う。



まだ、諦めたくなくて。
まだ、姉ちゃんと一緒にいたくて。



失うなんて、考えられなくて。




“治す方法”という言葉に、確かに希望の光を抱いていた。





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