傷だらけのラブレター




病気さえなければ、姉ちゃんは普通の人生を過ごせたかもしれない。



姉ちゃんはただ、普通の生活をして、普通に学校に行って、普通の人生を過ごしたかっただけなのに。




病気というものは、それさえも叶えさせてくれない。






「……圭。」





――…それは、今日聞いたなかで、一番穏やかな声だった。




スーッと耳に染み込み、思わず引き込まれるような、そんな声。



俺は、導かれるように顔をあげる。





「私は無理だけど、さ…。」


『……。』


「まだ、希望がある人はいる。」




< 377 / 459 >

この作品をシェア

pagetop