傷だらけのラブレター
浅野目は、その人のことが本当に好きなんだと思った。
口を開くたび、悲しげな顔をしたり、微笑んだり…。
全てが喜びを表現してるわけじゃないけど、どれも優しい顔をしていた。
――…だからこそ、話の結末は残酷で、一瞬にして優しさを奪っていったんだ。
「…死んじゃった、んだけどさ。」
また、声が出なかった。
さっきとは違うものが、俺の声を引き止める。
今の浅野目の表情は、悲しみだけ。
優しさなんて…、存在しない。