傷だらけのラブレター



浅野目は、その人のことが本当に好きなんだと思った。




口を開くたび、悲しげな顔をしたり、微笑んだり…。


全てが喜びを表現してるわけじゃないけど、どれも優しい顔をしていた。





――…だからこそ、話の結末は残酷で、一瞬にして優しさを奪っていったんだ。






「…死んじゃった、んだけどさ。」




また、声が出なかった。



さっきとは違うものが、俺の声を引き止める。





今の浅野目の表情は、悲しみだけ。



優しさなんて…、存在しない。




< 395 / 459 >

この作品をシェア

pagetop