傷だらけのラブレター
『…当たり前でしょ。』
そう言った私の声は、語尾の方がかすれていた。
それは直也の方も同じみたいで、携帯電話越しからは、唾を飲んだような音が聞こえてくる。
『……。』
でも私たちの間では、そうなるのは逃れられなかったのかもしれない。
実際、数時間前の私たちでは、“当たり前”のことが“当たり前”じゃなくって。
最後になるかもしれない“当たり前”に、私たちはビクビクしていた。
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