傷だらけのラブレター



『…携帯でよかったと、私は思うよ。』




本当に。本気で携帯でよかったと思う。



携帯じゃなかったら洒落にならないし、きっと、今ここで笑いあうことはない。




直也がいるだけでいい。



それだけでいい、そう思えたの。





「…本当に、2人には負けるわ。」




フッ、と。



小さく笑みを漏らしながら、突然その場に立ち上がる浅野目くん。



その影を追うように、私は視線をそちらに向ける。




< 449 / 459 >

この作品をシェア

pagetop