傷だらけのラブレター
「これ、いつか会えたらって、ずっと鞄に入れてたんだよね。」
『……え?』
「愛未ちゃん、退院した時、病院に忘れていくんだもん。
俺が渡しといてって、酒井さんから頼まれたんだからね!」
そう言って私の手元にフワリと舞い降りたのは、“傷だらけのラブレター”。
思わず目を見開いて顔を上げると、浅野目くんが優しく微笑んでいた。
「…じゃーね。」
だんだんと遠くなる背中を、ラブレターを握り締めながら見つめる。
トクントクンと、自分の心臓の音が大きくなるのを感じた。