傷だらけのラブレター
私の気持ちを静かに感じとった直也は、ゆっくりと色褪せた便箋を開けていく。
そんな作業を横から見守っていた私は、完璧に作業が終わった時、その便箋から目が離せなくなっていた。
“私は、直也のことが大好きです”
ただ、それだけだった。
それ以外は色褪せて見えなくなっていて、それだけが私の下手くそな字でかたどられていた。
『…汚い字。』
そう、言葉を漏らしながら、幼い私の字を見て、私は静かに笑ってしまった。